酒井 恒(さかい つね)/2013年度YNUプラウド卒業生

経歴

酒井 恒
読売新聞社提供
1903年5月19日 神奈川県足柄上郡大井町金手に出生
1924年神奈川師範学校(横浜国立大学の前身校の一つ)卒業
1929年東京高等師範学校理科三部卒業
1932年東京文理科大学動物学科卒業
東京文理科大学附属下田臨海実験所助手
1938年東京文理科大学附属下田臨海実験所退官
岐阜県女子師範学校教諭
1939年理学博士(京都帝国大学)
1943年神奈川県師範学校(横浜国立大学の前身校の一つ)教授
1949年横浜国立大学学芸学部教授
1952年第1回神奈川文化賞受賞
1954年~1955年横浜国立大学学芸学部長
1954年~1969年横浜国立大学学芸学部理科教育岩実験所(真鶴理科教育実験所の前身)所長
1960年~1961年横浜国立大学学芸学部長
1961年日本甲殻類学会会長(初代)
1967年神奈川県立博物館協議会委員
1969年横浜国立大学定年により退官
1970年~1979年東京家政学院大学教授
1973年紺綬褒章受章
1974年勲三等旭日中綬章受章
1978年神奈川県自然保護協会会長
1986年2月22日 逝去(82歳)
従三位叙位
2007年大井町名誉町民

主な著作

  • カニとエビの生活(課外理科文庫刊行会, 1931)*
  • 日本蟹類圖説(Crabs of Japan)(三省堂, 1936)
  • Studies on the crabs of Japan(日本産蟹類の研究)博士論文 学位: 理学博士
    授与大学: 京都帝国大学 授与年月日: 1939年12月1日
    昭和7〜13年にかけて静岡県下田周辺と相模湾で採集された標本に基づいて行った研究で、次の4部から成る。
  • 相模湾産蟹類 / 生物学御研究所編(丸善, 1965年)
  • 日本産蟹類(講談社, 1976)その他、多数の著作物あり。
    (*は、国立国会図書館で収集・保存しているデジタル資料を検索・閲覧できるサービス「国立国会図書館デジタルコレクション」により、インターネット経由で閲覧可能。)

昭和天皇の御学友

 昭和27年(1952年)11月8日、生物学御研究所で「相模湾産カニ類の特殊性」について約1時間にわたって行った御進講が御縁となり、その後相模湾の海洋生物研究の相談役また御学友として昭和天皇の御採集・御研究の傍らに酒井博士の姿があった。
 博士逝去のおり、昭和天皇は御製の中で、亡くなった博士への想いを「船にのりて相模の海にともにいでし 君去りゆきぬゆふべはさびし」と詠っている。

日本甲殻類学会の創設

 昭和36年(1961年)4月7日に東京麻布の小田原甲殻類博物館にて、酒井博士を初代会長、Isabella Gordon博士を名誉会長として発会式が行われた。なお、第1回大会は横浜国立大学理科教育岩実験所で開催された。
 機関誌「甲殻類の研究(Researches on Crustacea)」が発刊され、酒井博士も多くの研究成果をここに寄せた。現在「甲殻類の研究」は“Crustacean Research”という欧文タイトルで、和文の機関誌“CANCER”とともにオープンアクセス誌(インターネットを通じて誰でも自由に閲覧できる学術誌)として毎年刊行されている。

酒井コレクション

 分類学的研究のために収集したカニ類・タラバガニ類の膨大なコレクションを昭和47年(1972年)、神奈川県立博物館に寄贈。現在は博士夫妻が仕上げた細密画とともに神奈川県立生命の星・地球博物館へ移され、「酒井コレクション」として保管されている。
 これにより、博士は昭和48(1973)年6月30日紺綬褒章(公益のため私財を寄付した功績ある者に与えられる勲章)を授章された。

参考文献: 特別展図録「カニの姿:酒井コレクションから」(神奈川県立生命の星・地球博物館, 1999)

図書館内での過去の展示物

展示物 展示物

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