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電子図書館へ向けて

−第31回関東地区国立大学附属図書館職員研修会の報告−

 

第31回関東地区国立大学附属図書館職員研修会(主催:関東地区国立大学図書館協議会)が、横浜国立大学附属図書館を当番館として、平成9年10月23・24日の両日、横浜国立大学の教育文化ホール大集会室(1日目:講演)および附属図書館(2日目:討議)を会場として開催されました。

講演

1日目の講演については、学術情報センターの安達教授および東京大学附属図書館の伊藤情報管理課長の両氏を講師としてお招きし、「電子図書館へ向けて」と題した講演会を行いました。講演の概要を準備資料をもとに紹介します。

  1. 電子図書館へ向けての現状と課題

    学術情報センター研究開発部

    安達 淳 教授

    1. はじめに

      1997年4月から学術情報センターは一次情報データベースサービスの「電子図書館サービス(NACSIS-ELS, Electronic Library Service)」の提供を開始したが、本講演ではこのサービスと大学図書館との関係について検討することを目的とする。

      NACSIS-ELSは、インターネットの上で学術雑誌の紙面を情報検索機能と共に提供するもので、単に、従来からのドキュメントデリバリーサービスを文献検索システムと統合したものと見ることもできるが、運用面では、当初から著作権処理機能の実装を念頭において進めてきた点が重要であると考えている。

    2. 学術情報センターでの開発の経緯

      学術情報センターの従来からの事業、特にデータベース事業と電子図書館サービスとの関係について検討する。特に、学会発表データベースは、学協会の研究会、大会、シンポジウムなどにおける研究発表のタイトル、著者、内容梗概などをデータベース化したものであり、NACSIS-ELSのコンテンツと関連性が高い。またフルテキストデータベースとの関係、位置づけについて論じる。

    3. 電子図書館サービスの位置づけ

      学会が行う文献提供サービス、商業出版者が行う文献サービスとの性格の違いについてコンセプトを紹介する。特に「図書館」と名付けている点に着目して、学術情報センターの取り組みの特徴について述べる。

    4. NACSIS-ELSにおける著作権処理

      利用者から著作権使用料を集め学協会に配分するという著作権処理は、NACSIS-ELSサービス運用の基本であり、1998年4月から処理開始というスケジュールに沿って基本方針を固めつつある。

      利用には、個人利用と組織ないしはサイトによる利用を考えている。

    5. むすび

      最後に、学術情報センターの電子図書館の展開と大学図書館における取り組みとに関する課題について論じる。

       

  2. 電子図書館へのインパクト

    東京大学附属図書館

    伊藤 祐三 情報管理課長

    1. 要約とリコメンデーション

      −差し当たりこれだけは−

      1. 要約
      2. リコメンデーション
    2. 電子図書館への道のり

      −さまざまな工夫はなされている−

      1. OPAC
      2. 電子化と提供
      3. データベース
      4. 電子雑誌
      5. スペース配分
      6. PR
    3. 学術審議会の「建議」が目指すもの

      −新しいパラダイムの提起−

      1. 電子図書館の概念
      2. サービスの普遍化
      3. 情報発信のサポート
      4. 情報サービスの市場化
      5. 経営の目標と組織の機動化
    4. 何がどのように変わりうるか

      −新しいパラダイムから−

      1. 役割において
        1. 学習支援
        2. 研究支援
        3. 発信支援
        4. 相互協力
      2. 組織機構において
        1. 組織再編
        2. 学術情報統合機構

 

なお、この講演会は、神奈川県内の公私立大学図書館および公共図書館の職員をも対象とし、広く参加を呼びかけた結果、73名の参加者を集めました。参加人数の内訳は以下のとおりです。

研修会参加者 23名
国公立大学 4名
私立大学 12名
公共図書館 15名
本学関係者 16名
その他 3名

73名

討議

2日目の討議については、関東地区国立大学図書館協議会のメンバー館の12機関、オブザーバーとしての3機関、計15機関23名の参加のもとに、電子図書館へ向けての取り組みの現状や今後の課題等について、活発な討議が行われました。

なお、この研修会の参加機関名は以下のとおりです(カッコ内の数値は研修参加者人数)

  1. 茨城大学 (1)
  2. 図書館情報大学 (1)
  3. 筑波大学 (4)
  4. 宇都宮大学 (1)
  5. 群馬大学 (1)
  6. 埼玉大学 (1)
  7. 千葉大学 (3)
  8. 横浜国立大学 (3)
  9. 山梨大学 (1)
  10. 山梨医科大学 (2)
  11. 総合研究大学院大学 (1)
  12. 放送大学 (1)
  13. 高エネルギー加速器機構 (1)
  14. 国立歴史民俗博物館 (1)
  15. メディア教育開発センター (1)

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