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  ソフォクレス悲劇集

−特別閲覧室の展示について−

 

 附属図書館では,昭和60年,2号館建設を機に,本学図書館を特徴づける空間作りを試みた。その一環として,特別閲覧室に展示コーナーを設けたが,今回,その展示作品として,「ソフォクレス悲劇集」をとりあげた。

 ソフォクレスは,ギリシア三大悲劇詩人の一人として,紀元前5世紀に活躍した作家である。彼は103ないし130篇の作品を発表したといわれているが,現在に伝えられているのは,「オイデプス王」,「アンティゴネー」,「エレクトラ」等7篇の悲劇と断片のみである。展示した書物には7篇の悲劇すべてが含まれている。

 この書物は,フランスの代表的初期印刷出版者として名高い,ステファヌス一家の一人,ポール・ステファヌスが,1603年ジュネーヴで発行したものである。ギリシア語の本文にラテン語の対訳がついているが,ギリシア語は,初期印刷業界で使われていた活字によるもので,通常のギリシア語の知識では文字さえも判読できない。

 ソフォクレスの作品の他に,デメトリオス・トリクリニオス(14世紀初頭の古典学者)によるギリシア語の古註,H・ステファヌスによる解説及び注,J・カメラーリによる作品論も収められた,1,000頁に及ぶソフォクレス悲劇集の集大成といえよう。

 なお,今回の展示にあたっては,ラテン語による書誌事項の解読等,教育学部の矢内光一教官に全面的にご協力いただきました。ここに深く感謝いたします。


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